ストーブ(ペレット燃料)

木質ペレットについて

木質ペレット。一般にストーブ用にはΦ6mm×25~40mmのものが使用される。 (北越融雪)

木質ペレットとは、主に燃料利用を目的として木材をチップ化して含水率調整などを行い、圧縮固化した小さな円筒形の粒です。ペレットは多くの場合間伐材や製剤工場のおがくずなどから二次的に生産されます。チップ化の工程を経て一旦バラバラになった木片は「ペレタイザー」と呼ばれる機械を通って抽出されます。このペレタイザーの中では、パスタマシーンのようなダイスを通過する際、大きな圧力を掛けて押し出されることで摩擦熱が生じ、木に含まれる油脂分(リグニン)が融出します。 ペレットが冷却される過程でリグニンがロウのように自然と固化するため、基本的に糊料などは添加されていません。一般的にストーブ用にはΦ6mm、ボイラー用にはΦ8mmの規格が採用されています。


燃焼のメカニズム

物質の燃焼には「可燃物」「酸素供給体」「点火源」の三要素が必要とされています。ペレットストーブでは「可燃物=ペレット燃料(※)」「酸素供給体=導入空気」「点火源=ヒーターないし種火」ということになり、このうちいずれか一つが欠けただけでも着火は起こりませんし、また燃焼が安定継続するためにもこの三要素が安定していることが必須条件となります。

(※)ペレットが燃える際に可燃物となっているのは実は木材全体ではなく、中に含まれているリグニン(木質素)とセルロース(繊維素)です。

リグニンとセルロースが加熱分解されて炭化水素ガスが生じ、その酸化反応で熱と光が発生することを利用しているのがペレットストーブです。木材燃焼の過程をおおまかに追ってみると、①90℃以上で木材内部の水分蒸発が起こる(この段階で「蒸発する水分が多い=含水率が高い」と、材の乾燥に費やされるエネルギーが多くなり、次のステップに移るまでの時間が余分にかかる)→②260℃以上になるとタールを含んだ気体が放出される(リグニンとセルロースが分解されたもので、このまま昇温することでエネルギー放出が始まるが、昇温しないと液化してしまう)→③放出されたガスのもと、十分な酸素があり、温度が600℃くらいまで上がるとガスが発火する(燃焼の始まり)→④ガスが放出された後の木材が燃えるのが700℃以上。「おき火」と呼ばれる燃焼状態で、木材の表面で起こる(オレンジ色の光は酸素と混ざった炭素が高温で燃え、二酸化炭素を発生していることを示している)→⑤木炭が完全に燃えた後には燃焼に必要ない成分として無機物である灰だけが残る…というように推移します。

(参考:薪ストーブがわかる本/株式会社地球丸/菅井康司著/2004年)


薪とペレットの違い

薪は木材を適切な含水率まで乾燥させたもの、ペレットは粉砕、乾燥、含水率調整等を経てペレタイザーで成形されたものです。薪は原木の種類によって木質が密実なものや含水率が高いものがありますが、一般的に含水率で比較するとペレットが10%以下ほどに調整されているのに対し、薪は20~25%ほど。密度を比較するとペレット:薪=3:1ほどと言われています。
薪はユーザー自身が山で伐採したり、玉割りしたり、というシーズン前の準備も楽しみの一つですし、汗をかくことさえ苦にしなければ安く運用できることがメリットですが、シーズン中に足りなくなった場合などは購入を考えることになります。
ペレットはなかなか自家製造というわけには行きませんので、そもそもストーブ販売店やホームセンターで購入するか、通信販売等により調達することになりますが、品質・流通量とも安定していることがメリットといえます。


ペレットの発熱量と灰分

ペレット燃料には前述のようにリグニンやセルロースなどの形で可燃物(炭化水素)が含まれていますが、一見同じように見えるペレットでも可燃物の含有率はまちまちであり、その多少によって発熱量が異なることになります。基本的には同一重量のペレットが複数種類存在する場合、以下のような関係があります。

項目ペレットAペレットB
可燃物(炭化水素)多い少ない
灰分少ない多い
発熱量高い低い

ペレットの種類について

ペレット燃料にはその原材料の構成により「ホワイトペレット」「全木ペレット」「バークペレット」「アグリペレット」など、いくつかの種類があります。ヨーロッパではペレットストーブもペレット燃料も国境を超えて流通することからEU圏で適用されるEN規格という基準が定められており、日本でも今後同様の基準が設けられていくものと考えられます。ここでは詳しい説明は省略し、呼び名と性質、価格についてご説明します。

種類ホワイト全木バークアグリ
発熱量高い中くらい低い低い
灰分少ない中くらい多いとても多い
価格高い中くらい安い安い
クリーニング容易
普通大変大変
特徴全木に次いで多く流通している。製材工場由来のおがくずやプレナくずが原料となる。現在最も多く流通している。杉・松の間伐材や住宅建築廃材などが原料となる。
あまり流通していない。
ほとんど流通していない。

「ホワイトペレット」はお米に例えるなら精米済みの白米です。樹木の芯(木部)だけから作られており、発熱量が大きく、灰が少ないのが特徴。他のペレットに比べると少しお値段が高めですが、ストーブや煙突への負担も少なく、クリーニングも比較的楽です。
「全木ペレット」はお米に例えるなら玄米です。樹木の芯(木部)や皮(樹皮)、枝などから作られており、ホワイトペレットほどではありませんが、発熱量・灰の分量・お値段のバランスが取れた燃料と言えるでしょう。原料の選別をせずに作れるため、国内で流通するペレットのほとんどがこの全木です。
この他にも樹木の皮や枝などから作られた「バークペレット」や、栽培きのこの菌床、おから、コーヒーかす、刈り草などから作られた「アグリペレット(ミックスバイオマス)」などが、燃料の低価格化と廃棄物処理を同時に解決することを期待され、試験的に製造されています。


バークペレット、アグリペレットを燃焼するには

バークペレットやアグリペレットはホワイト・全木に比べて発熱量が小さく、灰がとても多いため、特殊な燃焼機構を持つストーブでないと継続燃焼が難しいことが知られています。燃焼中にクリンカ(溶融灰)が岩のように塊を生じるため、投入されたペレットに熱や酸素が不足して途中失火してしまうことが原因です。現在当社ではこれらの燃料を効率的に燃焼する機器の販売も行っています。

バークペレット・アグリペレット用ペレットストーブについて

CSTHERMOS Thelma, Notabene

独自の回転型バーナーを有し、灰を擦り潰しながら灰受けに落とす。
クリンカの発生を抑制しながら長時間安定燃焼を行うストーブ。
送風ファンを2機標準装備し、1機を逆方向に向けることで複数室の暖房も可能になる。

>CSTHERMOS Thelma
>CSTHERMOS Notabene

Dielle Maestrale

ペレットが下方からせり上がってくる「下込式バーナー」と、 灰がバーナーの外側にこぼれ落ちる独自の灰排出機構を有する。
クリンカの発生を抑制しながら長時間安定燃焼を行うストーブ。
燃焼室には大面積の3面ガラスを採用し、広い角度から炎を楽しむことができる。

>Dielle Maestrale


当社がペレットストーブに取り組んだ理由

そもそも当社がペレットストーブを扱い始めるきっかけにもなったのが「きのこ廃菌床ペレットの製造と燃焼」というプロジェクトでした。
融雪設備は大変大きな熱量を必要とし、個人住宅でも1シーズン10万円を超える燃料代がかかることも珍しくなかったため、「何とか灯油やガスに代わる燃料を熱源とするシステムを作れないか」と開発が始まったのです。
当社が立地する十日町市は冬期間深い雪に覆われることもあり、古くからきのこの屋内栽培事業者が多く存在しているのですが、きのこを出荷するとほぼ同じ重量の廃菌床(おがくずやとうもろこしの芯などを原料とする培地)が発生し、その廃棄に少なからぬ手間とコストが掛かっていました。
また当社創業者、樋口功が障害者就労支援を目的とするNPO法人支援センターあんしんの代表者を務めていることから声がかかったのです。
融雪の燃料代と廃菌床の処分、さらには障害者の雇用創出、という3つの課題を同時に解決できる素晴らしい事業、と着手したのでした。


>ストーブ(排気筒)

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