下水管路にも熱がある

先週12/19~の雪で大変なさわぎになった新潟県ですが、クリスマス寒波ではさして目立った降雪にも見舞われず、本日(12/26)の午前中はところによって青空も見えるような天候で、まだまだ本格的な「雪国」の姿には遠いようです。

会社脇の集落広場に下水のマンホールがあるのですが、うっすらと積もった雪がマンホール蓋の上だけジワッと融けていました。

これは下水管路を流れる生活排水の温度が周囲に比べて高いため、空気の対流によって暖められたマンホール蓋が雪を融かしている状況です。

この熱がどんどん利用できればそれはそれでエコなのですが、下水管路はどうしても 太い道路から各住宅・事業所に樹枝状に広がっているため、利用できる範囲が限られているのと、雪を融かす「ため」に排熱しているわけでないので、降雪のスピードに対してはなかなか追いつけないという現実があり「気が付いたらジワッと融けていた」程度にしか利用できないようです。残念ですね…。

融雪コントローラーの操作について

北越融雪の標準型融雪コントローラーを操作してみました。

電源ONの後、少しすると「自動」「停止」の運転待機(降雪監視)状態となり、センサーの前を雪片が横切るごとに「センサー」のLEDが点滅します。

規定時間内に複数回チカチカと「センサー」が点滅すると「連続降雪状態」を検知して「融雪運転」がONとなり「循環ポンプ」や「熱源機器」の運転がスタートします。

今回は雪の降りも弱かったのですが、あえて「感度調整」ツマミを最大として早めに「運転モード」に入るよう調整してあります。

新発田市の雪と電気ヒーター融雪

新潟県の中でも山形県寄り、新発田市に行ってきました。これまで40年以上新潟県民として暮らしてきた印象としては新発田市の雪は十日町市の半分くらい、と思っていたのですが、新潟県が公表している「垂直積雪量」によれば

  • 地域名:旧新発田市(山間部を除く)、旧加治川村
    垂直積雪量:130センチメートル
  • 地域名:旧新発田市(山間部)
    垂直積雪量:200センチメートル
  • 地域名:旧豊浦町
    垂直積雪量:140センチメートル
  • 地域名:旧紫雲寺町
    垂直積雪量:120センチメートル

とのことですので、山沿いでは十日町市(330㎝)の約7割程度ということになります。

今回の記録的寒波では新発田市にも大量の雪が降り、道沿いの住宅屋根にはおよそ70~80㎝の雪が積もり、道路は除排雪のトラックが行き交うため渋滞していました。

今年の春3月に新発田市の山沿いで無人施設の構内を電気ヒーター融雪させて頂いたのですが、積雪センサーにより長時間通電加温していた効果もあり、比較的よく消えてヒーターマットが露わになっていました。

ヒーターマットでは1時間当たり2.5㎝程度までしか融かせないので、連続して大量の降雪がある場合などは追いつかずにどんどん積もってしまうことも少なくないのですが、そんなときも積雪センサーと組み合わせるといずれ降雪量が少なくなってきたころに追いつくので安心です。

小千谷市の大雪 物流網もストップしてコンビニもからっぽ

昨日、小千谷市役所に用事があり、峠越えをして訪問してきました。

写真は市役所正面玄関。階段こそきれいに雪かきしてありますが、両側の雪山を見ると、どれだけ大量の雪が一度に降ったかが分かります。

小千谷市では倒木等の影響で停電した地域もあったそうで、融雪システムにも電源が供給できなかったため、暖房も給湯ももちろん、融雪も動かなかったようです。

普段は何の気もなく当たり前に使っている電気ですが、私たちのくらしを支える重要な生活インフラですね

下の写真は道すがらトイレをお借りするために立ち寄った某コンビニエンスストアです。いつもはトイレをお借りするときも飲料やガムなどを買うのですが、パンやおにぎり、お弁当のラックはすっかり空っぽでした…。

ロードヒーティングのお客様 フォローアップ

12月としては珍しい警報級の寒波が柏崎・長岡・小千谷・魚沼を

襲いましたが、魚沼市でロードヒーディングをご採用いただいた

お客様のお宅へお伺いしました。



ぽっかりコンクリートが見えている部分が施工範囲です。

強烈な降雪でしたが対応できて いたようで一安心しました。


夏の工事の成果が冬に現れるので、お客様の満足げな笑顔がなによりのご褒美です

新潟県に記録的な大雪 幹線道路も渋滞でストップ

今回、新潟県中越地方を襲った集中降雪は1日量で100㎝を超えたところも多く、新潟県長岡市・柏崎市では20㎞以上に渡る交通渋滞も引き起こしました。

当社の社員も小千谷市・長岡市方面のお客様から寄せられるSOSに対応すべく、国道17号線・国道117号線から小千谷市へ向かうのですが、1時間に数十mしか進まないノロノロ運転となり埒が明かないので、引き返してきました。

途中で信濃川左岸から小千谷市へ抜ける「雪峠」が通れるとの情報が入り、試しにアタックしてみたところ、除雪状況こそ間に合っておらずガタガタでしたが何とか小千谷市へ抜けることに成功しました。

まだ長岡市の市街地や関越自動車道・北陸自動車道は通行止めが続いており、そちら方面に伺うのは明日以降になりそうですが、何とか道路状況が改善し次第お邪魔しますので、どうかもう少々お待ちください。

山雪と里雪(さとゆき)

 今年のシーズン初めは里雪型の降雪で日本海側から中越地方の平野部が大量の降雪に見舞われています。

12/19 15時現在の積雪状況。小千谷市120㎝、長岡市99㎝、新発田市70㎝など平野部が大雪で、湯沢・津南・南魚沼・妙高高原などは0㎝ないし積雪深なしとなっている。

 主に日本海側の山沿いから山岳地域で降る雪を山雪といい、主に海岸地域や平野部に多く降る雪を里雪といいます。

山雪となるときの地上気圧配置は西高東低型が多く、季節風が強いことが特徴です。

山雪型( 気象概念(山雪・里雪) – 国土交通省北陸地方整備局)
https://www.hrr.mlit.go.jp

里雪となるときの地上気圧配置は袋型が多く、山雪に比べて季節風が弱いことが特徴です。


里雪型( 気象概念(山雪・里雪) – 国土交通省北陸地方整備局)
https://www.hrr.mlit.go.jp

山は一足早く雪化粧

十日町市当間のオスポック様を年末ご挨拶にて訪問してきました。

十日町の駅周辺にはまだ雪が積もっていませんでしたがホテルベルナティオに隣接するオスポック様は海抜約477mと、十日町駅が海抜148mなのと比べると約330mほど高い場所に立地しています。

気温は海抜100mごとに約0.6℃下がることが知られているので

0.6℃×3.3=1.98℃

と、駅周辺より2℃ほど低いので降雪も早いんですね。

融雪に適した熱源の選定について

野沢温泉村の地域であれば、電気より灯油式を推奨するとの回答でしたが、
再度その理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。

2022年12月3日 某設計者様より

現在、長野県内のプロジェクトについていくつかお問い合わせを頂き、対応しています。

その中で、多くの方が疑問に思われるであろう質問がありましたので、良い機会と思い、こちらにも回答をご紹介しておきます。

以下、上記のご質問に対する当社からのご返答です。


お問い合わせ、ありがとうございます。

熱源が電気であれ、灯油・ガス等の燃焼機器であれ、降雪を処理するための単位面積当たり負荷は変わりませんので、あとは各燃料の単位熱量当たり単価が幾らになるかによって変わってきます。

一般的には
LPG > 電気 > 灯油 > LNG
という条件になる場合が多いと思います。

特に厳寒地ではデフロストによる出湯休止が問題になりやすいヒートポンプでなく、COP=1となる 抵抗負荷を採用されるでしょうから、負荷設備容量を大きくとれば、それがそのままデマンドや基本料金に効いてきます。

それにより、降雪の多寡によらず毎年少なからぬ固定費を支払う羽目になります。

逆を返せば、灯油を用いた温水循環式では基本料金という概念はなく、小雪の年には運転時間が少なった分、従量料金が下がるだけですから降雪量が年度によって大きく増減するような地域では電気ではなく灯油を用いることの方が向いているといえます。

ガスについては契約形態によって電気契約のように基本料金が発生するものもありますので、どちらかといえばコスト構造は電気に近いかもしれません。

(施工地によりLNGのこともあればLPGのこともあり、また運営母体が民間会社の場合も自治体事業の場合もあるため契約形態・料金設定の条件が多様だと思います)

そもそも降雪現象と雪に対する防災対策としての融雪設備は、降雪・積雪という現象をうまく理解しないと始まらないのですが「雪」は突き詰めれば氷と水と空気の混合物であり、気象条件や周囲環境によってその密度や物理的性質が異なるものでありランニングコストの最小化を図るには放熱出力を柔軟にコントロールできる装置の方がより適しています。

電気ヒーターを採用する場合には、前述の理由から
「設備容量を可能な限り小さく設計したい」
という発注者/元請側の意見が採用される場合が多いため、短時間に大量の降雪があったり、燃費節約のために運転を停止して雪が溜まった状態から始動するような条件下では放熱出力不足からうまく雪が融かし切れない場合が多いものです。

また、あとから設備容量を増強しようとするとイチからやり直しになるはずです。

その点温水循環式では(流量)×(平均循環温度)でおおよその放熱出力が決定できることから、設備の運用開始後であってもそれら2つのパラメーターを可変することにより放熱出力を大きくも小さくも調整可能という特徴があります。

したがって野沢温泉などのように標高が高く、気温が低い雪処理にとってシビアな条件下では電気でなく灯油・ガスなどの燃焼器を用いることがより適していると言えます。

例外的に電気を用いる事例としては、
1)熱源機の燃料となるべき灯油やガスの適期配送が困難な遠隔地や無人施設
2)電力のコストが一般民生に比べ限りなく小さくできる電力会社や鉄道会社
で電気ヒーターを使用する場合があります。

ちなみにこのご返信をする際、100㎡の屋根に対してガスボイラー、電気ヒーター、灯油ボイラーを採用したとして1シーズンのランニングコストを試算したところ、

1.ガスボイラー(LPG、長野県野沢温泉村’21/12単価)

約 330,000円/シーズン

2.電気ヒーター(中部電力、従量電灯C契約)

約 310,000円 /シーズン

3.灯油ボイラー(新潟県十日町市’22/12単価)

約 150,000円 /シーズン

4.ガスボイラー(LNG、新潟県小千谷市’22/12単価)

約 110,000円/シーズン

となりました。なお、シーズン当たりランニングコストは燃料単価、現地降雪量、施工方法等により大きく異なる場合がありますので、あくまでもご参考程度として頂きますようお願い致します。